アフガン女性の遠い夜明け

 

f:id:beh3:20211008165149j:plain

 古いスクラップ記事を整理(処分)していたら、民族衣装を着たアフガン女性たちが自動小銃を手にカブール市内を行進する珍しい写真がでてきた。1988年5月9日発行の『NEWSWEEK』に載った「アフガン化する戦争」という記事に合わせた写真で、直前の4月末に行われたアフガン共産主義革命10周年を祝うパレードでの一幕だという。ソ連は5月15日から撤退を始めると発表したばかり。アフガン政府軍だけでムジャヒディン勢力と戦えるか疑問視されるなか、女性たちも国を守るため立ち上がったとアピールする狙いがあったようだ。キャプションには「村の女性たち」と書かれてあるが、ハイヒールをはいているので、開放的な都市生活に慣れたカブールの女性たちと思われる。

 ソ連軍の撤退が完了するのは翌89年2月。約10年間で延べ62万人のソ連兵がアフガンに駐留し、約1万4000人が死亡している。記事には「ここに我々の家はない。アフガン人は自分たちの問題を自分たちで解決すべきだ」というソ連兵の言葉が紹介されている。同じ状況が米軍のアフガン撤退で繰り返されたわけだが、ここでも取り残されたのは女性たち。民主主義を受け入れたアフガン女性たちが女性の権利を求めてデモをしても、タリバンに通用するはずがない。事態が悪化しないよう祈るばかりだ。

f:id:beh3:20211008165321j:plain

ソ連の援助で建設された近代的なカブールのアパート団地。Louis Dupree著『Afghanistan』より

 

f:id:beh3:20211008165335j:plain

ソ連支配の象徴になったアパート団地はムジャヒディン勢力の無差別発砲で廃墟になった。1995年撮影

 

f:id:beh3:20211008165352j:plain

セーブ・ザ・チルドレン」が運営するカブールの保護施設で暮らしていた女の子たち。1995年撮影